忍者ブログ
駿河シカヲとマダム葵による映画レビュー、書評、対談、コラム等のブログであります。 コメントやリンクはいつでも大歓迎でお待ちしております!
2025.07.05,Sat
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009.08.04,Tue
どぅーもどぅーもぅ。
駿河シカヲっすぅ~。
そういえばひと月ほど前に『ハゲタカ』を観に行ったんすぅ。
レビューするっすぅ~。
もうダメっすぅ~

<公式HP>
http://www.hagetaka-movie.jp/index.html

<作品解説・あらすじ>
ハゲタカ - goo 映画

世界金融危機 前夜。日本のマーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンドマネージャー・鷲津の元に、かつての盟友・芝野が現れる。中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー「アカマ自動車」を危機から救ってほしい、というのだ。日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(リュウ・イーファ)。豊富な資金を背景に、鷲津を圧倒し続ける劉ら中国ファンドの真の目的とは!?

“企業買収”という斬新なテーマ、現実の経済界の動きをダイナミックに取り入れたストーリーが大反響を巻き起こしたNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」。世界でもっとも権威ある国際番組コンクール「イタリア賞」を始め、国内外で数々の賞を受賞したドラマが、スクリーンで復活する。今回も中国経済の台頭、派遣切り、そしてリーマンショックに端を発する世界金融危機まで、タイムリーな経済トピックスを巧みに内包。虚構でありながら、現実の経済ニュースの“裏側”を切り取ったかのような、同シリーズならではの魅力は健在だ。今回、ハゲタカこと鷲津を演じる大森南朋、鷲津の元上司で盟友の芝野役・柴田恭兵らオリジナルキャストに闘いを挑むのが、玉山鉄二 扮するファンドマネージャー・劉だ。その真意も、彼自身の素性も謎に包まれた劉。クールでミステリアスな顔に隠された、彼の素顔も大きな見どころとなっている。

<レビュー>
別に期待していなかったっす。
ドラマは何年かに一回の傑作ですがね。
ただ、人気ドラマの映画化で良かったことなんて日本ではただの一度も無かったと記憶しているわけで、全然期待していないんです。
でもわざわざ観にいったってことから、ぼくが如何にドラマ版のハゲタカが好きかってことを察して欲しいっす。
それを踏まえた上でこれからボロクソに批判するので察して欲しいっす。

まあこれは今になって考えると駄作ですね。

まずドラマを観ていないと、急にでてくる『重要っぽいチョイ役』とか、急にでてくる『重要っぽい台詞』に対処できないでしょう。
先日ご結婚された松田龍平君がでてきましたけれども、映画だけ観た人は「は?誰コイツ?なんでこんな堂々と出てる感じなの?」って思うでしょう。
そう、彼と主人公鷲津の関係はドラマで観ないとわからんのです。

それからね、ドラマの重厚感を映画に移行するとなんでこんなに陳腐なんでしょうか。
あれはドラマ限定のシリアス劇ですね結果的に間違いなく。
監督が駄目だったのかな。
やっぱ経済ドラマを映画で撮るなら、金融腐蝕列島<呪縛>を倣って欲しかったです。

演出面での未熟さ。
相変わらず画面が無意味に揺れていてガッカリ。
これはもうドラマでしかやらないで欲しかった。
ありがちな音楽挿入。
これも最近の糞日本映画の流れ。

あとは何と言っても、そう、とにかくこれが一番なんですが、
ストーリーが破たんしている。
無茶苦茶です。
特に後半。
いや、もちろんアレですよ、そういう映画はそれとしていいけど、
これはあくまでも現代を生きる我々の生活のリアリティに沿ったドラマでしょうよ。
中国から来た玉山鉄二の演技は凄く良かったのに、彼の周辺情報にまったくリアリティがない。
最後は突然彼が死んで、は?って感じだし。

でもね、やっぱりドラマのファンとしては凄くうれしいんです。
鷲津演じる大森南朋の眼光は相変わらず凄いし、
芝野のどこがやり手なのか分からないけれど柴田恭平のオーラバリバリの演技なんとなく説得力をもたせてしまうし、
想像の及ばない、桁の違う金額が動いてゆくダイナミズムを堪能できるし、
エンディング曲好きだし、
まあとにかくドラマ版のファンは観ておいて損はないでしょう。
ルーキーズやごくせんよりは数億倍マシなんじゃねーのかなって感じです。

というかですね、
ハゲタカのドラマ版は、観なさい!
近年稀に見る傑作ですよ。
映画はDVD化したあとレンタル半額の日に借りなさい。ついでのような感じで。

本当は一緒に行った友人と語りあった真面目な考察をいろいろ書きたいのですが、
ぶっちゃけ忘れちゃったんで、割愛します。すんまそん。

★★★☆☆

PR
2009.06.23,Tue
駿河シカヲです。
もう記憶がしっちゃかめっちゃかです。
『パルコフィクション』を観たんです。
先月のことです。
すっかり忘れてました。
観た映画を全部記録するのは難しい。
おぼろげな記憶でレビューします。

<作品詳細・解説>
パルコフィクション Parco Fiction(2002) - goo 映画

渋谷のパルコをモチーフにしたオムニバス・コメディ。監督・脚本は、「ウォーターボーイズ」の矢口史靖と「ワンピース忠臣蔵 THE LAST OF 47 PIECES おもいでダンス」の鈴木卓爾。撮影監督に「多摩川少女戦争」の白尾一博があたっている。出演は、「DOG STAR」の田中要次、「三文役者」の真野きりな、「DAN-BALL HOUSE GiRL」の近藤公園、NHK教育『さわやか3組』の村上東奈、高橋健太、「命の響き」の猫田直、「金髪の草原」の唯野未歩子、「日雇い刑事 THE LABOR COP」の荒川良々ら。

『パルコ誕生』不法投棄されたゴミにボウフラがわいて、それがやがて蚊になり、コンビニの誘蛾灯で死に、徹くんの飼っている鯉の餌になって、しかし親の都合で引っ越すことになった徹くんがその鯉を川に逃がしたところ、老人がそれを釣って食べて骨を喉につまらせ転倒、診察を受けた病院で偶然ある会社の役員が自分のレントゲン写真と老人のそれを重ねたらPARCOの文字が浮かび上がった。それがパルコの名前の誕生秘話だ。『入社試験』パルコの面接試験に臨んだ花子は、帰り際、面接官に一通の封筒を渡される。「この封筒を最後まで開けなかったら、合格ですよ」。果たして、それをうっちゃっていた彼女は、見事、採用が決定する。ところがそれから数日後、封筒を開けた彼女は、好奇心からその中に書いてあった指示通りに行動してみるも、なんとPARCOの看板のRに首を突っ込み抜けなくなってしまうのであった。『はるこ』テレビでパルコのCMが流れる度に自分が呼ばれていると勘違いする祖母・はるこを心配した孫娘のイズミは、おばあちゃん救済のため、CMの打ち切りか店名の変更を進言しに、まぶだちのムラチューと上京する。果たして、ムラチューの意外な活躍によりPARCOはPIRCOとなり、一件落着となるのであった。『バーゲン』今日からパルコはグランバザール。しかし、店員の鈴子は目をつけていたワンピースが次々と売れていくのが気懸かりでならない。そこで彼女は人目を盗んでそれを隠し、夜中、こっそり取りに戻るのだが、警備員から逃れようとしてビルの隙間に挟まってしまう。「もうダメだ」。死を覚悟したその時、彼女はくしゃみの勢いで脱出に成功する。『見上げてごらん』上を見るとクラッとしてしまう、世にも稀なスカイ・スクレーパー症候群に悩まされるパルコの店員・美都子。ある日、警備員の大須から食事に誘われた彼女は、彼が予約したレストランの入口が高い階段の上だったことを詰って大喧嘩。いつの間にか昇っていた階段から足を滑らせて、大須と一緒に転落してしまう。だがそのお陰で、骨折した大須はしばらく彼女より目線の下の車椅子生活を送ることになり、彼女自身も少しだけ病気を克服することが出来るのであった。『ポップコーンサンバ』シネクイントの劇場スタッフが、リズムを取り踊るエンディング。

<レビュー>
まず映画を思い出すのが大変なんで、今回は思いついたことを思いついた順に羅列してゆく形式でレビューします。
いわばメモです。
ただ、最初におおざっぱなアレを言うと、「そこそこ面白かった」です。
この映画が上映された頃、同時にヒット映画『ピンポン』が上映していたみたいです。
個人的に『ピンポン』よりは面白かったかなあと思います。
昔『ピンポン』は彼女と観にいきました。
Y市の市民文化会館みたいなところで特別上映されましてね。
まあ、田舎ですよね。
Y市には映画館がなかったんですよね。
そんで彼女と観たんですけど、彼女は話がどうとかじゃなくて、なにしろARATA演じるスマイル君のことをかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいがかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいがかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいかっこいいとほざくのです。
ケッと思いました。
でもぼくは「そうだね。かっこいいね」と笑顔で返答しました。
そしたら彼女も「やっぱ?そうでしょ?スマイル役の人素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵ステキすてきステキほんとステキやだもうステキステキ素敵すてきすてきすてき」とほざくのです。
もう今更どうだっていい話ですよ。
本当に死ぬほどどうでもいい話だ。

・小学生の女の子の演技が良かった。とても光っていた。かわいかった。俺はロリコンじゃないからな。今彼女は二十歳ぐらい。年月の流れははやい。
・矢口監督より鈴木監督のほうがしっかり作りこまれていて良かった。
 それでも矢口監督の作品もウォーターボーイズよりはずっとマシだった。
・スカイ・スクレイパー症候群というネーミングが良いと思った。
・荒川良々はスベリ知らずだ。
・女優がみんな良かった。目立った美人がいなかったが、良かった。
・「リバプールの怪童」ことトニークロスビーが特典映像で出ていて、それで彼の本業をはじめて知った。
・『はるこ』の出来が非常に良かったと思う。あのノリで一本長編が見たい。ジュブナイルなロードムーヴィー。
 塩田明彦の「カナリア」の冒頭を思い出す。
・エンディングのポップコーンサンバには特に面白さを感じなかった。
 というか、普通。
・別にパルプフィクション的な何かはほとんど無い。まあオムニバス形式で相互につながりがあるというのは共通しているが、作風はまったく違う。ようするにダジャレである。
・時間が短いのでサクッと観られる。全然疲れない。平日の仕事の後に観るには最適である。

このぐらいだろうか。
あんまり覚えてないんだよな。
もっといろんなことを考えたはずなのに。
星三つでいいとも思うけれど、子役の女の子の印象がいまだに強く残っているので、星を一つ上乗せしようそうしよう。しかし今一度言っておこう。
俺はロリコンじゃない。熟女好きだ。嘘だ。普通ぐらいでいい。

★★★★☆
2009.05.17,Sun

suruga shikawo です。
TVドラマ「ハゲタカ」を観ました。
もうすぐ映画化されます。
劇場に足を運ぶ予定なので、良い予習になりました。

<公式HP>
http://www.nhk.or.jp/hagetaka/

<レビュー>
大抵のTVドラマは馬鹿にしてもよいが、TVドラマを侮ってはならないケースが稀にある。
やはり映画が好きならTVドラマもみるべきではないだろうか。
TVドラマはだいたいが陳腐である。
撮影も編集も時間がないから、とってだしの場合が多い。
しかし前提が陳腐であることを分かっていない人が多いために、フジの月9などは大作感を装った見るに堪えない駄作になってしまうのである。
月9なのかどうか知らないが、フジTVにありがちな、あの大仰な様式美にこだわったような移動撮影はなんとかならないものか。
そのくせ話が早急だからやたらゴチャゴチャしている。
更にMTV的なダサさが時々挟まれたりしていてそれもまた気分が悪くなる。
役者が皆スターなのが、また悲しかったりする。
要するにテレビドラマの制作にはB級映画の精神が必要なのだ。
だからぼくはB級映画を撮れる監督に月9ドラマの演出を手掛けて欲しいと思っている。

とは言うものの、TVドラマにもスケールの大きな傑作というのがごくまれにあって、例えばそれは今回観た「ハゲタカ」である。
しかしハゲタカはよくみると、ストーリーがダイナミズムに満ち溢れているだけで、演出や撮影自体はそんなに大袈裟ではない。
撮影などはむしろ手持ちが中心で結構雑である。
Yシャツで汗をかいている描写が多く、緊迫感とライブ感を演出している。
このややドキュメンタリーな感覚はフジTVにありがちな溝口健二失敗バージョンとは大きく異なり、好感が持てる。

フジTVの「離婚弁護士」はちょっと惜しい。
大袈裟なカメラワークがないけれども、弁護士事務所内のシーンになると手ブレがひどい上にカット割りが早すぎて気持ちが悪くなる。
早急すぎるのも問題なのである。
TVドラマは難しい。

で、「ハゲタカ」ですが、これはおすすめです。
傑作TVドラマです。
NHKは時折ホームランをかっ飛ばすので、侮れません。
ただ、この作品は映画で楽しめるのかどうか。
それが心配です。

★★★★★

 駿河シカヲ

2009.05.10,Sun
駿河シカヲです。
フジテレビドラマ「ハチワンダイバー」全十一話を観終えました。

<フジTV公式HP>
http://wwwz.fujitv.co.jp/81/index.html

<レビュー>
ドラマはちょいちょい観ていたんです。
でも全部観ていたわけじゃないんで、結末とか気になっていたんです。
おまけにマンガのほうが面白くてですね、
それでまあドラマもじっくりみてやろうってんで、少しずつDVDをレンタルしていたんです。
なかなか子供騙しのくだらぬドラマです。
しかし最終話までぼくは観てしまいました。

原作との相違点はありますが、
おおむね頑張っているのではないでしょうかね。

ああ、そういえば安田美沙子さんの演技はちょっとマズすぎでしょうね。
でもその下手さ加減を楽しんで観ていました。
仲里依紗さんは声色を使い分けたりして安田さんとの実力の違いを見せつけておりましたが、
結局見ていておもしろいのは演技の下手な人の、その下手さ加減なのですねえ。

主役の菅田役を溝端淳平くんというイケメンが演じておりますが、
どうなのでしょう、ぼくとしてはもう少し不細工なほうがいいんでないかって気はします。

ちなみにエンディングテーマをガッキーこと新垣結衣さんが歌っております。
おそろしくパンチのない声です。
優しい、というよりも、弱い声です。
それでもまあぼくはG○eeeeNの百倍、いや、一千倍は好きです。
なんですか、あのGR○eeeNというのは。けしからんですな。
友人のK君がGReeee○を最近車の中で聴いているようで、このまえK君の車の中でかかっていたんです。
反吐がでそうになりましたね。
29歳にもなって、なんですかあのお先真っ暗な歌詞は。
淀長先生が聴いたら怒りますよまったく。
そんなに手をつないでがむしゃらに前向きになったつもりになりたいんですかね。
歯医者だけやってりゃいいんですよ。
だいたいなんなんですかAq○a timezってのは。
千の夜を超えてあなたに何をそんなに伝えたいんですかね。
あんたも29歳なんだからそろそろ諦めなさいよ。
水野晴郎先生が聴いたら悲しみますよ。

話が逸れましたね。
てへっ

★★★☆☆
駿河シカヲ
2009.04.21,Tue

駿河シカヲです。
ガス・ヴァン・サントの「パラノイド・パーク」を観ました。

<公式HP>
http://paranoidpark.jp/index.html

<作品解説・詳細>

パラノイドパーク - goo 映画
16歳の少年アレックスは始めたばかりのスケボーに夢中。その日も、スケボー少年の聖地・パラノイドパークに向かった。しかし頭をよぎるのは家族の事や彼女のジェニファーの事ばかり。不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りに参加する。その時、ふとした偶然から鉄道警備員を死なせてしまう。不安に駆られながらも、何事もなかったかのように日常生活を送るアレックスだったが…。

『エレファント』や『ラストデイズ』など、若者の心の揺らぎや痛みを、彼らと同じ目線に立って描くことで定評のあるガス・ヴァン・サント監督作品。ある一夜の“事件”で、いきなり人生の試練に直面する事になった少年の揺れ動く気持ちを、監督独特のスタイリッシュな映像で映画化(35ミリとスーパー8を駆使して、その研ぎ澄まされた映像を作り出したのはクリストファー・ドイル)。主役に抜擢された地元ポートランド出身の新人、ゲイブ・ネヴァンスが、危うさを内包した10代の心模様を見事に演じた。また、ニーノ・ロータの映画音楽や、エリオット・スミスのナンバーなど、その音楽の使い方にも注目したい。

<レビュー>
映画の中で、「ナポレオン・ダイナマイト(バス男)」からの引用があったようだ。
気づかなかった。
「ナポレオン・ダイナマイト」をもう一度観る必要があるし、いずれそのうえで本作を観直そうと思う。

ガス・ヴァン・サントは語ろうとしない。
かといってありのままを撮ろうとはしないわけで、つまるところ独自の視点に立っていることは確かであるが、何も語ろうとしない。
言うなれば、いびつなドキュメンタリーだ。
いや、ドキュメンタリーではない。間違いなく、映画である。

「エレファント」も「ラストデイズ」も本作も、肝心なところが空白だ。
さっきも述べたように、作る側が語ろうとしないからだ。
だから、怖い。
ゾッとする。
これは何なのだと惹きこまれる。
苛立ちの一歩手前で、観るものは惹きこまれる。
美しいショット、美しい音楽、そういった装飾にだまされる。
時系列を巧妙に組み替え、ちょっとした混乱をまねく。
客観的に事態をを提示しているようで、実のところ小賢しく、ぼくらを騙しにかかる。
メッセージをダイレクトに伝えようとする愚直さを周到に避ける手法は、ある意味で映画なんだなと思う。
素晴らしい。

★★★★★

駿河シカヲ

2009.04.15,Wed
駿河シカヲです。
久しぶりにギターを二時間弾きました。
今回はジャック・ドワイヨン監督「ポネット」です。
観るたびに物凄く泣きます。

<作品解説・詳細>
ポネット(1996) - goo 映画
たった4歳で最愛の母の死に向かい合い、それを乗り越えた少女の心の冒険を描いた感動の物語。何百人のも子供たちから“死"についてどう考えているかを聞き、粗筋だけを用意して、台詞は準備期間に子供たちの話から拾い集めたという。主役のポネットを演じるヴィクトワール・ティヴィソルのみずみずしく自然な演技が驚異的で、96年ヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞した(最年少)。監督・脚本は「ピストルと少年」「愛されすぎて」のジャック・ドワイヨン。製作は「愛されすぎて」のアラン・サルド、撮影はカロリーヌ・シャンプティエ、音楽は「ピストルと少年」のフィリップ・サルド、編集はジャクリーヌ・ルコント、衣裳はアンリ・ベルトン、幼児精神科医はマリー=エレーヌ・アンクルウェ。録音はジャン=クロード・ラルーとドミニク・ヘネキン。共演は映画監督でもあるグザビエ・ヴォーヴォワ、「絹の叫び」のマリー・トランティニャンほか。

プロヴァンスの田舎の村、秋。交通事故で突然ママ(マリー・トランティニャン)を失った4歳の少女ポネット(ヴィクトワール・ティヴィソル)は、パパ(グザビエ・ヴォーヴォワ)からそのことを聞かされても、死がまだよくわからないから、泣くこともできない。とまどうポネットは、人形のヨヨットと一緒に、ママの帰りを待つことにする。パパはポネットをおばさんに預け、仕事でリヨンに向かった。年上の従姉妹デルフィーヌとマチアスがどんなに遊ぼうと誘っても、ポネットは庭で、部屋で、一人でママを待ち続ける。おばさんはポネットを膝に抱いて、ママはもう帰らないこと、ママはイエス様と天国にいることを優しく諭すが、ポネットは「おばさんはなぜ天国に行かないの? ママはあたしといたかったのに、今はなぜ違うの」と訊ねる。従姉妹が教えてくれた、好きな人が甦るおまじないも効かない。ポネットは小さな頭を働かせ、自分なりの考えを作っていく。「死んだ人が戻ってこないのは、生きている人が、その人をほんとうに待っていないからよ」。周りは皆、途方に暮れてしまう。休暇をとってポネットに会いに来たパパも、頑にママを待ち続けるポネットに苛立ち、怒りだす。「ママは天国だ。おまえはパパの世界に住んでいる。命のある世界だ。そんな考えだと、ずっと悲しいままだぞ」と。泣きじゃくるポネット。ポネットは従姉妹と共に寄宿学校に入った。そこは現実と夢想とが混じり合う、子供たちだけの世界。自分の空に閉じこもるポネットをデルフィーヌがさりげなくかばい、子供たちも自分たちなりにポネットを受け入れていく。ポネットは、礼拝堂にあるイエス像に魅せられ、「全能の神様。ママは死にました。神様と一緒のはずです。ママに私とお話するよう伝えてください」と、一生懸命にお祈りする。ユダヤ人の少女アダから「神様の子供になるテストに合格したら願いが届く」と聞き、いろんな試練に取り組むが、何も変わらない。そして、アントワーヌに「ママが死ぬのは子供が悪い子だからだ」と言われ、ポネットは自分を攻めるようになる。マチアスが優しく慰めてくれても、傷は癒えない。ポネットはリュックをしょって、一人寄宿舎を後にする。ママのお墓の前で泣きじゃくるポネット。「ママ、ここに来て」、それに答えるかのように、静かな奇跡が訪れ、ママが目の前に現れた。そして、ポネットはようやくママの死を受け入れ、克服することができた。

<レビュー>
観たら必ず号泣してしまう映画がぼくには二つあって、ひとつは「蛍の墓」、そしてもう一つが本作なのです。
つまり、小さな子供がかわいそうな目に遭う映画を観ると、ぼくは何より子供が不憫でしかたがなくなって泣いてしまうのであります。
恋愛モノの映画で恋人が死んでどうこうってのでは滅多に泣かないんですけどね。
こういうのは作品の出来不出来にまったく関わらず、問答無用で泣いてしまいます。
人にはそれぞれ涙腺を刺激するツボがあるのでしょうね。
で、今回も開始五分で泣きました。
ポネットが、父親から母の死を告げられて、泣きながら父親に「一緒に頑張ろうね」と言うシーンです。
これがねえ、とにかくこの主演の女の子がおそろしく自然に泣くんです。
本当にあれは演技なのか、と疑うほど自然なんです。
劇中彼女は何回も泣くんですが、とにかく自然に泣くんです。
凄いです。
彼女が泣くたびにぼくも泣きます。
一番泣いたのは、ポネットがお母さんのお墓で、泣きながら土を掘り返すシーンです。
出来ることなら、お母さんに会わせてあげたい。
でも、無理なのです。
何故って、お母さんは死んだのです。
でも、ポネットは「死」という概念がまだ理解できていない。
だから、お母さんに会えると思っている。
彼女は「ママに会わせてください」と神様に真剣に祈るのです。
でも会えない。
なんてかわいそうなんでしょう。
会わせてあげたい。
ぼくも心から願うのです。

この映画は、四歳の女の子の驚異的な演技力に注目されがちですが、
ぼくが個人的にそれと同じぐらい素晴らしいと思ったのは、カロリーヌ・シャンプティエのカメラワークです。
アップのショットが多いのは普段なら疲れるのですが、今回に限って大正解だと思います。
落ち着いたロングショットが少ないのは不満と言えなくもないですが、ただし無垢で危うげで幼いポネット個人と外の世界との隔たりを感じさせることが出来ているのは文脈ではなくカメラワークによる力なのではないか、そう思わせるようなものがあります。
それから、わりとカメラが左右上下に動くので、普段ならこういうのは落ち着かないから好きじゃないんだけど、この人の撮影は非常にスムーズというか、瑞々しいというか、とにかく良いと思います。
そりゃあ好みから言えば、もっと小津安二郎みたいにどっしりと固定して撮って欲しい気もするけれども。

ポネットを演じた女の子ですが、アップで見たとき、ときおり表情がびっくりするほど大人びているときがあってハッとします。なんでしょう、あれ。
さすがフランス人。というか欧米人。

ネタバレですが、ポネットは最後、死んだお母さんに会います。
もちろん幻想です。
ただ、どうなんでしょう、お母さんは若い頃着ていた赤い服をポネットに着させていなくなるのですが、ポネットは赤い服を幽霊にもらったことになるわけです。
ファンタジーで終わってしまいましたね。
これは如何に。
母親を亡くした小さな子供が、その死をどのように受け入れるかという主題にたいして、解決にあたり最後ファンタジー的要素を介入させてしまったのですが、それは果たして良かったのでしょうか。
ぼくには分かりません。

★★★★★
駿河シカヲ
2009.04.09,Thu
駿河シカヲです。
最近明らかにレビューが適当になっているわけです。
この悪い流れはしばらく止められそうにありません。
なぜなら疲れているからです。
キム・ギドク監督の「春夏秋冬そして春」を観ました。
これはもう何回も観ています。たぶん全シーン覚えています。
ただ、好きであればあるほど、書くことがなくなってゆくのです。

<作品詳細・解説>
春夏秋冬そして春 - goo 映画

春-深い山あいの湖に浮かぶ寺で、老僧と幼い見習い僧が暮らしている。幼子はふといたずら心で、小さな動物の命を殺めてしまう…。夏-子どもは青年になっている。そこへ同年代の女性が養生のためにやって来て、寺に暮らすことに。青年の心に欲望、そして執着が生まれる。秋-寺を出た青年が十数年ぶりに帰ってくる。自分を裏切った妻への怒り。老僧は男を受け入れ、荒ぶる心を静めるようにさとす。冬-湖面を氷が覆う。壮年となった男の前に、赤子を背負った女が現れる。そして春…。

『魚と寝る女』『悪い男』など、それまでそのショッキングな内容で私たちを驚かせてきた韓国の異才、キム・ギドク。1年に1本というハイペースで作品を作り続け、近作はベルリンやベネチアなどの映画祭で受賞が続き、いま、世界でもっとも注目されている監督である。さて、この新作は今までの作品とは大きく作風を変え、詩情溢れる芸術作品になっており、今までのギドク・ファンは驚くだろう。

舞台は山中の湖に浮かぶ寺とその周辺だけ、登場人物も限られている。四季の移り変わりを人生になぞらえるため、撮影は1年に及んだ。ギドク監督自身も「冬」に登場する壮年の僧役で出演という熱の入れようだ。人は業のもとに生まれ、欲から執着が生じ、それが満たされないと憎しみや怒りが現れる。人は誰しも心の平安を求めてやまないが、それがかなうのはいつのことか…。心に沁みる作品だ。

<レビュー>
「サマリア」はキリスト教の映画であり、「春夏秋冬そして春」は仏教の映画である。
諸行無常、諸法無我、涅槃寂静、一切皆苦、有為転変、教外別伝、即心是仏、唯仏与仏、色即是空、一念三千、因陀羅網といった仏教的な四文字熟語を思い浮かべる、そんな映画である。
一見非常に美しい世界。
圧倒的な詩情が溢れている。
だが、バイオレンスな人間の本質を暴くキムギドクのことだから、それに加えて過剰な暴力性がにじみ出ていて面白い。

演出がいちいち上手い。
もうこれは北野武よりも安定感がある。
これは監督のどの作品にも言えることだが、シンボリックなエピソードと小ネタが非常に分かりやすく感動的なレベルで魅せてくれるので、変に頭の固そうな芸術映画にならない、高尚なテーマでも普通の面白い映画として楽しむことができる。
この辺の才能が現代の監督ではずば抜けていると思う。

舞台となる寺は湖上に浮かんでいる。
ボートで寺と俗世を行き来するわけだ。
映画にはしばしば「どこでもドア」的な媒介アイテムが重要なポイントになっている。
それは、道だったり、車だったり、ポストだったり、携帯電話だったり、橋だったり、手紙だったり、襖だったり、店だったりする。
今回はボートが象徴的な媒介アイテムとして登場する。
ボートに乗ってドラマを持った人が寺にやってきて、新たなドラマが作られる、ボートに乗って人が去り、残された人間のドラマが作られる。
主語と補語をつなぐbe動詞みたいにボートは湖を往来する。

やがて秋、和尚はボートに火をつけて死に、冬、ボートは和尚とともに凍った湖の中に消え、物語はいったんそこで消滅(中断)するかにみえるのだが、やがて誰もいなくなった寺にキムギドク本人扮する男がやってくる。
かつて和尚に育てられた男だ。
殺人を犯し、刑期を終えて帰ってきたのである。
春を迎え、雪解けとともに再び物語が始まる。
この世は続いてゆく。

その無常観がまさに仏教であり、ことによると暴力的で痛々しい。

★★★★★

駿河シカヲ

2009.04.07,Tue
駿河シカヲで御座ります。
山崎真実さん主演のアクション映画「ペルソナ」を観ました。

<作品解説・詳細>
ペルソナ - goo 映画

プロジェクト・ペルソナ。謎の人体実験に巻き込まれ、ひとりの女子大生・日和の人生は急変した。実験によって人間離れした格闘センスと“別の人格”を埋め込まれた彼女は、研究所から脱走する。次々と襲い掛かる追っ手たち、その攻撃をかわし、男たちをなぎ倒してゆく日和。だが一方で“もうひとりの人格”が、彼女の心と体を蝕んでゆく。そんな彼女の危機を、若き医者の幸一郎が救った。いつしか幸一郎は日和と行動を共にし、どこか他人とは思えない懐かしい感情が芽生え、互いに惹かれ合ってゆく。だが、追っ手からの攻撃は激しさを増す。はたして彼らが逃走するはるか雪原の向こうに“未来”は訪れるのか…。

新体操で鍛えた抜群の運動神経によって、激しくもしなやかなアクロバティックなアクションを披露するのは、映画初主演となる山崎真実。世界的アクション監督・谷垣健治も山崎のアクションセンスには脱帽したほど。監督は、映画とゲームの融合「THE呪いのゲーム」で各方面に話題を呼んだ実力派・樫原辰郎。山崎の“心と体のアクション”を、このふたりの映画監督がフィルムに焼き付けた。そして、医者の幸一郎役を萩原聖人が熱演、愛する妻を失った男の哀しみを情感たっぷりに魅せてくれる。その他、鈴木砂羽、佐野史郎、二階堂智、森次晃嗣、木村祐一といったベテラン・個性派が脇を固める。(作品資料より)

<レビュー>
ぼくは山崎真実さんのファンです。
しかもかなりのファンです。
大好きです。
だから観たのです。
これは彼女のファンでなければ楽しめないようなレベルの映画です。
題材はそこそこなのでうまくやれば素晴らしい作品になる要素もあると思うのですが(とは言いつつも二重人格云々の話はありふれている。ただし面白くなる要素はある)、どうも監督の演出に余裕が感じられないし、なんだか一本調子でつまらないのです。
しかし、山崎真実のアクションはなかなかカッコいい。
これだけ動けるアイドルはそういないですね。

アイドル映画にしてはやけにシリアスで雰囲気がある(無駄なシャワーシーンはあるけど)。
脇を固める役者陣も豪華。
けっこうマジな感じで作ったのでしょう。
ラストシーンなんかは結構良かった。
でも、大事な何かが完璧に抜け落ちている。
だってつまらないんだもの。
つまらないならつまらないで、せめてなにかしらの大胆に飛躍するようなビックリシーンがあれば良いのに、監督が相当真面目な人のようで、優等生にも不良にもなれない感じ。

マッドサイエンティスト役の佐野史郎はなんでいつもあんな役しかやらないのだろう。
たしかに言うことないぐらいに似合っているけれども、もういいよって気もする。

二回目の格闘(病院)で、中でドンパチやっているのを病院の外から撮っているシーンは、
一瞬「ソナチネ」を思い出しました。
映画的な記憶の連鎖です。
大した感じではないけれどもソナチネが素晴らしいせいで、印象に残っています。

★★★☆☆

駿河シカヲ

2009.04.04,Sat
駿河シカヲで御座います。
池田敏春監督「ハサミ男」を観ました。

<作品詳細・解説>
ハサミ男 - goo 映画

相次いで惨殺された2人の女子高生。喉元にハサミが十字架のように突き立てられた遺体の様子から、マスコミは犯人を“ハサミ男”と名付ける。やがて警察の捜査の遅れに非難が集まる中、第三の事件が起こってしまう。夜の公園に十字に横たわる少女の遺体を発見したのは、知夏という若い女性と安永という長身の男。2人はある理由から被害者の少女の身辺を探っているうちに、偶然に遺体の発見者となったのだった。重要参考人として警察の監視下に置かれた知夏と安永は、事件の真相を突き止めねばならない立場に追い込まれてゆく…。

第13回メフィスト賞を受賞し、ミステリーファンの間で大きな話題を集めた殊能将之の「ハサミ男」を映画化したサイコ・スリラー。いわゆる“叙述トリック”を用いた新本格派ミステリは映像化不可能とされることが多いが、本作はそのトリックを逆用した映像のレトリックをて、原作のサイキックな世界に奥深く分け入ることに成功している。この映画化を成功させたのは、ジャンル映画の鬼才として一部に絶大な支持を得る池田敏春監督。

風景、静物、人物の表情をシュールな感覚で折り重ねながら、禍々しい死のイメージと登場人物の心の闇を夢幻的に交感させてゆく手口は、なるほど鬼才の妙技だ。また出演者にも、豊川悦司、麻生久美子、阿部寛といったフォトジェニックな俳優たちが集い、心の内側にひそむ悪意や悲哀をエキセントリックな個性で演じている。

<レビュー>
原作未読。
本来ならそれでも構わないのである。
しかし、今回に限ると原作を読んでおきたかった。
何故なら、原作(殊能将之著、メフィスト賞受賞作)が物凄く面白いらしいのである。
そして、原作の面白さが映画を圧倒的に上回っているらしいのである。
なるほど確かにストーリーだけみると凄くよく出来たミステリーだと思う。
ぼくは評判の悪い映画のほうで、肝心のオチを知ってしまった。
だから原作はこの先読まないだろう。
ちなみに殊能将之のHPの日記が面白い。
昨年友人に教えてもらって以来、いつも拝見している。
だのにぼくは殊能将之の小説を読んだことが無い。

安っぽい映画である。
ところどころ映画的な演出はあるが、どこかしらテレビのサスペンス劇場的な安っぽさがあるのだ。
というよりこういった類の駄目さ加減は悲しくてやるせなくて好きだ。
テレビドラマが映画になった時の駄目さ加減は許せないことが多いのだが、こういう二時間ドラマ的な安っぽさには妙な哀愁がある。

最期の象徴的な十字架のシーン。
これはダーティハリーっぽい。
ところどころこういったシンボルをだしてくるところは、やはり映画的な見せ方なのだろう。

麻生久美子は時折ぞっとするほど美しい。
瞬間的な閃光を発する。
つまり美人なのだ。
そして豊川悦司は相変わらず立っているだけでサマになる。

★★★☆☆

ハサミ男

2009.03.04,Wed

皆様お疲れ様です。駿河シカヲです、フォー!
俺を殺せ!
デレク・ジャーマン「BLUE」を観たよ。

<作品解説>
BLUE(1993) - goo 映画
94年2月にエイズで死去した映画作家デレク・ジャーマンの遺作。画家イヴ・クラインに触発されたブルーのみの映像が続く中、青についての随想と詩、そしてジャーマンが入院中に書いたエイズとの闘病についての随想が、ナレーションで語られる。日本公開に当たり、青一色の映像という監督の意図をより尊重した字幕スーパーのないプリントも上映された。製作はジェームズ・マッケイと「ヴィトゲンシュタイン」の浅井隆。音楽は、ジャーマンとは「エドワードⅡ」など4作でもコンビを組んだサイモン・フィッシャー・ターナーで、ブライアン・イーノ、モーマス、ヴィニ・ライリー、ミランダ・セックス・ガーデン、コイルなど全20組のアーティストの曲が挿入されている。ナレーションはジャーマンと、「ヴィトゲンシュタイン」のジョン・クェンティン、「カラヴァッジオ」のナイジェル・テリー、「エドワードⅡ」のティルダ・スウィントン。

<レビュー>
いわゆる実験映画である。
まるで文字のない小説だ。
または、審判しかいないオリンピックだ。
または、ボーカルしかいないバンドだ。
または、みずのないみずうみだ。
または、マリリンマンソンのいないマリリンマンソンだ。
または、青色しかない世界だ。
または、             。

画面は青一色。他には何も映らない。
そしておっさんがなにかブツブツつぶやいている。
もしも字幕がなければ、本当にぼくは混乱していただろう。
というか五分で観るのをやめたであろう。
goo映画の解説には、「日本公開に当たり、青一色の映像という監督の意図をより尊重した字幕スーパーのないプリントも上映された」とあるけれど、本当だとすればこれは凄いことである。

生きていることに意味はない。
映画にはまったく意味がない。
映画はただの茶番劇。
映画はくだらない。
映画は芸術ではない。
映画はすでに死んでいる。
デレク・ジャーマンはバカだ。
観た人はもっと馬鹿だ。
映画を観る人は基本的に馬鹿だ。
騙されている。
馬鹿であることを認識していれば、馬鹿じゃない。
というわけでもない。

★★★☆☆

 駿河シカヲ

2009.02.19,Thu
こんばんは。駿河シカヲだ。胸が苦しい。
今回は『僕の彼女はサイボーグ』であります。

<作品解説・詳細>
僕の彼女はサイボーグ - goo 映画

20歳の誕生日、祝ってくれる友達もいないジローは、街で“彼女”と出会う。最高に楽しい一日を過ごすが、誕生日が終わる頃、彼女は姿を消してしまい、それから会うことはなかった。1年が過ぎ、去年と同じように一人で誕生日を祝っているジローの前に、“彼女”は現れた。必ずまた会えると信じていたジローは喜ぶが、再会した彼女は何だか去年と違うような…。実は、“彼女”は未来から送り込まれたサイボーグだったのだ!

『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督と日本スタッフが組んだ、繊細でパワフルな“彼女”と、ちょっと頼りないジローのピュアで切ないラブストーリー。恋愛初心者のジローは、未来から送り込まれた“彼女”と共同生活をすることに。大食いで力が強く、ちょっと風変わりな“彼女”に、いつか恋している自分に気付くジロー。しかし、サイボーグの“彼女”に、気持ちが伝わるのか? 終盤に向かうに連れ、ジローの一途さが切ない。主演は、「ホタルのヒカリ」の綾瀬はるか、『恋空』の小出恵介。綾瀬はるかの小悪魔っぽさもキュートだが、小出恵介の三枚目っぷりもチャーミング。ダメ男もスマートに演じられるのが本物のイケメンの証なのかも。

<レビュー>
初めての韓国映画の鑑賞がクァク・ジェヨン監督作品だった人は不幸である。
この男のセンスは最悪なのである。
悪趣味もいいところだ。
なにしろ『僕の彼女を紹介します』で、エックソJAPONの曲を垂流しにする漢である。
今回もわざととしか思えないセンスの悪さが存分に発揮されていて、非常に(不)愉快であった。

毎度のことながら、タイムパラドクスの矛盾点などどうでも良い。
理系の人間には向かない映画だ。
あくまでも大味な恋愛映画としての醍醐味を味わって欲しい。
綾瀬はるかはかわいい。
綾瀬はるかのかわいさとクァク・ジェヨン監督の胸糞が悪くなるような演出(決して褒め言葉ととらないように。タランティーノやティム・バートンなどのそれとは根本的に異なる)を堪能しておくれ。

出演者は日本人で舞台も日本。
それなのに、これはどうみても韓国映画。
というよりも、クァク・ジェヨンの映画。
悪い意味で個性的なアホ監督である。
でもぼくはクァク・ジェヨン作品を三つも観てしまっていることになるのである。
あっはっはっは。
もう二度と観ねー。

★★★☆☆
駿河シカヲ
2009.01.15,Thu
駿河の国のシカヲです。
今回は井筒和幸監督の『パッチギ!LOVE&PEACE』です。
パッチギ!の一作目はなかなか良かったのですが・・・。

<公式サイト>
http://www.pacchigi.jp/loveandpeace/

<作品解説・詳細>
パッチギ!LOVE&PEACE - goo 映画

1974年、東京。江東区枝川でサンダル工場を営む叔父夫婦のもとに身を寄せるリ・アンソン一家。難病に冒された幼い息子チャンスの治療のために京都から出てきたものの、医師の下した診断は厳しく、さらに多額の費用が必要なことがわかり、乱闘騒ぎをきっかけに親友になった元国鉄職員の佐藤と命がけの計画を立てるアンソン。妹のキョンジャは稼ぎのいい芸能界に飛び込むが、人気俳優の野村と出会い恋に落ちて…。

68年の京都でエネルギッシュに青春の日々を送った『パッチギ!』のアンソンとキョンジャの兄妹が帰ってきた。大人になった彼らはさらなる厳しい現実に立ち向かうことになる。日本の植民地時代に生きた2人の父親の若き日の姿も交え、親子三代にわたるドラマが展開するが、それは「在日」の人々の物語にスポットを当てると同時に、非「在日」も含めた矛盾だらけの日本の姿も痛烈に浮かび上がらせる。ありきたりな続編ものとは一線を画し果敢に攻め続ける井筒和幸監督は、徹底的に生きることを肯定する。何が何でも生き延びてやるという必死さこそがパッチギの心意気なのだ。新たに主役に抜擢された井坂俊哉と中村ユリも好演。

<レビュー>
前作は、井筒監督が渾身の力を振り絞って作った、これぞ井筒映画ともいうべき、まさに監督の集大成と呼ぶにふさわしい作品であったし、傑作であったという声もある。
しかしながら、前作の続編であるこの作品の評価は非常に辛い。
ぼくも世間の評価と同じく、出来は良くないと感じた。

映画を作る際の方法論は前作とまったく同じである。
ラストの盛り上げ方にしろ、何もかも似ている。
それなのに、なぜ今回は失敗だったのか。
素人のぼくにはよく分からないけれども、
エンターテイメント映画の傑作をつくるには、ある程度強運も必要なのではないだろうか。
前作は、非常に幸運に恵まれたのかもしれない。
映画に必要な部分、必要じゃない部分、下世話な部分、政治的メッセージ、喧嘩、青春、フォークソング、恋愛、在日問題などなどありとあらゆるものを二時間映画という小さな土鍋にぶち込んで作ったわけだが、
それが奇跡的に共存して見事な青春群像劇になったのが前作。
そもそもあれほどいろんなものを鍋にぶちこめば、普通は味が邪魔し合って失敗するのであろう。
だから、今回の失敗は妥当なのである。ような気がする。

井筒監督の持ち味は、不良の格好悪くてやけくそな熱気を映像の中にダイレクトに伝えられることだ。
そのへんは、『仁義なき戦い』や『バトルロワイヤル』の深作監督にも通じる部分がある。
バトルロワイヤルのラスト、「走れ!」という字幕をデカデカと映して、文字でメッセージを伝えてしまうという禁じ手を犯してしまった深作監督は、映画的に正しいとか正しくないとか関係なしに、熱い。
というか、映画的には完全に間違っている。
あれにはぼくは思わず笑ってしまった。
ただし、深作監督は熱い監督だと思った。
『仁義なき戦い』の手ブレおかまいなしのキャメラワークだって、映画的には「無し」なんだろうが、あれでこそ『ゴッドファーザー』の重厚さと対極をなす日本のヤクザの熱気、バイオレンス、悲哀といったものがでると思うのだ。

話がそれた。
パッチギ!シリーズのラストのたたみかけるようなシーンの連続は、くさいし、わざとらしいし、名曲「イムジン河」は卑怯だしTVドラマっぽいけど、嫌いじゃない。
ええいもうなにもかもやっちまえ!みたいなやけくそな感じが伝わってきて良いと思う。

★★★☆☆

駿河シカヲ

CALENDAR
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
RECENT COMMENTS
[11/16 マダム葵]
[06/25 駿河シカヲ]
[06/24 マダム葵]
[04/30 駿河シカヲ]
[02/20 駿河シカヲ]
About
HN:
駿河シカヲ & マダム葵
性別:
非公開
職業:
ひたすらに映画
趣味:
映画
自己紹介:
<駿河シカヲ>
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。

<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。
SEARCH THIS SITE
RECENT TRACKBACKS
MOBILE
忍者ブログ [PR]