シカヲ駿河です。
今回はイーストウッドの「硫黄島からの手紙」です。
<公式HP>
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
<作品解説・詳細>
硫黄島からの手紙 - goo 映画
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。アメリカ留学の経験を持ち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将・栗林が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。そんな栗林の登場に、硫黄島での日々に絶望していた西郷ら兵士たちは希望を見出す。だが、一方で古参の将校たちの間で反発が高まり…。
イーストウッド監督、スピルバーグ製作の『父親たちの星条旗』に続く、硫黄島2部作の第2弾。日本の最南端にほど近い太平洋に浮かぶ、東京都小笠原村硫黄島。山手線一周ほどもないこの小さな島は、米軍の本土攻撃を食い止める最期の砦として重要な拠点だった。米軍は当初、圧倒的な戦力の違いから5日で陥落できると踏んでいたが、予想以上の日本軍の抵抗によって激戦は36日間に及んだ。この硫黄島の戦いを率いた日本軍の栗林中将、若き兵士・西郷ら何人かの人物に焦点を当て、硫黄島での戦いを明らかにしていく。戦後61年が経ち、地中から発見された数百通の手紙。届かぬとわかっていてしたためられた家族への思いが、余りにも悲痛で胸を打つ。
<レビュー>
映画はマジックだ。または幻想に過ぎない。
以下、その理由を挙げてゆきたい。
・どうみても十代にしか見えない二宮くんを主役に据えて最後まで押し切っている。
・休憩中の日本兵の会話はまるでアメリカンジョークだ。
アメリカ人のセリフを日本語に翻訳して喋っているかのよう。
しかし演じているのは日本人で、演じられているのは日本語劇である。
・地下塹壕の映像から空間性をまったく把握できない。
にもかかわらずドラマに魅了されている。
・爽快さの欠片もない戦闘描写。
しかし、「突発的な襲撃」のような緊張と緩和が組み込まれているせいで、
アクション映画足り得ている。
・渡辺謙の「天皇陛下万歳」のシーン。
右も左もストーリーもメッセージもまったく抜きにして、単純にそのアクション(肉体運動)に戦慄。
あれこそが映画的な感動の瞬間。
・硫黄、曇天、暗闇、地下、赤痢、水不足、日本兵、集団自決、イーストウッド特有の暗く冷たい演出、
加瀬亮特有の負のオーラ、負けを前提にした戦い、死、、、等々の救いようのなさ。
そこから奇跡的にマイナスイオンが発生している。
マイナス要素がマイナス要素にならない魔術。
・流れるようなカット割りは見事だが、俯瞰ショットが少ない。
接写は画面情報が少ないから観る側に選択を与えない。
これを見ろ、と言われたものを観るしかない。
余白の無い映像から、知らず知らずのうちに地下塹壕の窮屈感を与えられている。
かと言って外へ出れば撃たれる。投降すれば殺される。
最後の最後、シャベルで抵抗する二宮くんが気絶し、担架で運ばれて目をあけたときの彼の表情に、
妙な開放感を感じた。やっと負けてくれてありがとう、生き残ってくれてありがとう、と思った。
その時点では戦争はまだ終わっていないのだが。
★★★★★
by 駿河シカヲ
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。