駿河シカヲです。
ジョニー・トーの『エグザイル / 絆』を観ました。
いままで知らなくてごめんなさいっていうぐらいの傑作です。
<作品解説・詳細>
エグザイル/絆 - goo 映画
中国返還を間近に控えたマカオ。昼下がりの住宅街で4人の男がひとりの男の帰宅を待っていた。タイとキャットは彼を守るために、ブレイズとファットは彼を殺すために。5人は、かつては強い絆で結ばれていたのだが…。やがてその男、ウーが帰ってくる。そして始まる銃撃戦。だが、赤ん坊の泣き声がした時、男たちは銃を下ろす。そしてウーの妻も交えて晩餐を楽しむのだった…。
熱狂的なファンに支持されているジョニー・トー監督の、最高傑作と言われる本作。ヴェネチア映画祭を皮切りに世界中の映画祭で絶賛されている。『インファナル・アフェア』シリーズでお馴染みのアンソニー・ウォン、フランシス・ンをはじめ、ジョニー・トー組とも言うべき、香港映画界を代表する一癖も二癖もある男優たちが集結した。二転、三転するスリリングなストーリー、幾度も展開される、“これぞクライマックス”と思わせる銃撃戦が見どころだ。さまざまなシーンに込められたオマージュや“遊び”に、トー作品ファンなら感嘆の声を漏らすこと必至。そうでなくとも、男たちの生き様に美しい絆に、感動を抑えられないだろう。
<レビュー>
香港ノワールといったら、『インファナル・アフェア』シリーズしか知らなかった私です。
久しぶりに鬼才を発見しました。おせーよっていわれるんでしょうね。
凄い映画です。
近年のアクション映画では最高峰でしょう。
まず冒頭からしてわくわくします。
人物配置、完璧です。
何故即興で撮れるのかが不思議なほど緻密なカメラワークです。
気のきいた演出も素晴らしい。
ドンパチの開始を告げるレッドブルの空き缶。
女を遮断するカーテン。
美しく翻り舞うコート。
おそるべし、ジョニー・トー監督。
と、思って、過去の作品を調べると、金城武主演『ターンレフト・ターンライト』を撮ってるんですね。
これは、いまどきテレビドラマでもやらねーよってぐらいのアホな純愛クソ映画です。
というのはあくまで褒め言葉です。ラストが必見です。一応観ておいて損はないクソ映画です。
『エグザイル / 絆』はホモソーシャルな世界を描いた映画です。
いわば男の映画です。男の友情や男の美学や男のバカさというものが描かれております。
と言うと、ロバート・アルドリッチやサム・ペキンパーなどを思い浮かべますが、まさにラストは『ワイルドバンチ』です。
あのどうしようもなく震えるラストです。
ミッシェルガンエレファントの『赤毛のケリー』であり、『エレクトリックサーカス』であるのです。
ここまで言うとオチが分かってしまうかもしれませんが、分かっていたとしても最高に楽しめるでしょう。
おすすめです。
ジョン・ウーにビッグバジェットの作品を撮らせるぐらいなら、ジョニー・トーがかわりに撮るべきです。
例えば、ジョン・ウーお得意の無駄なスローモーションに比べると、ジョニー・トーのスローモーションのほうがずっと素晴らしいのです。
さきほどあげたラストの『ワイルドバンチ』的な銃撃戦は、北野武スタイル、いわば逃げも隠れもせず、突っ立ってただただ撃ちまくるスタイルをとっています。
北野武というのはやっぱり凄い監督なんですね。
★★★★★
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。