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駿河シカヲとマダム葵による映画レビュー、書評、対談、コラム等のブログであります。 コメントやリンクはいつでも大歓迎でお待ちしております!
2025.05.14,Wed
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2009.04.15,Wed
駿河シカヲです。
久しぶりにギターを二時間弾きました。
今回はジャック・ドワイヨン監督「ポネット」です。
観るたびに物凄く泣きます。

<作品解説・詳細>
ポネット(1996) - goo 映画
たった4歳で最愛の母の死に向かい合い、それを乗り越えた少女の心の冒険を描いた感動の物語。何百人のも子供たちから“死"についてどう考えているかを聞き、粗筋だけを用意して、台詞は準備期間に子供たちの話から拾い集めたという。主役のポネットを演じるヴィクトワール・ティヴィソルのみずみずしく自然な演技が驚異的で、96年ヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞した(最年少)。監督・脚本は「ピストルと少年」「愛されすぎて」のジャック・ドワイヨン。製作は「愛されすぎて」のアラン・サルド、撮影はカロリーヌ・シャンプティエ、音楽は「ピストルと少年」のフィリップ・サルド、編集はジャクリーヌ・ルコント、衣裳はアンリ・ベルトン、幼児精神科医はマリー=エレーヌ・アンクルウェ。録音はジャン=クロード・ラルーとドミニク・ヘネキン。共演は映画監督でもあるグザビエ・ヴォーヴォワ、「絹の叫び」のマリー・トランティニャンほか。

プロヴァンスの田舎の村、秋。交通事故で突然ママ(マリー・トランティニャン)を失った4歳の少女ポネット(ヴィクトワール・ティヴィソル)は、パパ(グザビエ・ヴォーヴォワ)からそのことを聞かされても、死がまだよくわからないから、泣くこともできない。とまどうポネットは、人形のヨヨットと一緒に、ママの帰りを待つことにする。パパはポネットをおばさんに預け、仕事でリヨンに向かった。年上の従姉妹デルフィーヌとマチアスがどんなに遊ぼうと誘っても、ポネットは庭で、部屋で、一人でママを待ち続ける。おばさんはポネットを膝に抱いて、ママはもう帰らないこと、ママはイエス様と天国にいることを優しく諭すが、ポネットは「おばさんはなぜ天国に行かないの? ママはあたしといたかったのに、今はなぜ違うの」と訊ねる。従姉妹が教えてくれた、好きな人が甦るおまじないも効かない。ポネットは小さな頭を働かせ、自分なりの考えを作っていく。「死んだ人が戻ってこないのは、生きている人が、その人をほんとうに待っていないからよ」。周りは皆、途方に暮れてしまう。休暇をとってポネットに会いに来たパパも、頑にママを待ち続けるポネットに苛立ち、怒りだす。「ママは天国だ。おまえはパパの世界に住んでいる。命のある世界だ。そんな考えだと、ずっと悲しいままだぞ」と。泣きじゃくるポネット。ポネットは従姉妹と共に寄宿学校に入った。そこは現実と夢想とが混じり合う、子供たちだけの世界。自分の空に閉じこもるポネットをデルフィーヌがさりげなくかばい、子供たちも自分たちなりにポネットを受け入れていく。ポネットは、礼拝堂にあるイエス像に魅せられ、「全能の神様。ママは死にました。神様と一緒のはずです。ママに私とお話するよう伝えてください」と、一生懸命にお祈りする。ユダヤ人の少女アダから「神様の子供になるテストに合格したら願いが届く」と聞き、いろんな試練に取り組むが、何も変わらない。そして、アントワーヌに「ママが死ぬのは子供が悪い子だからだ」と言われ、ポネットは自分を攻めるようになる。マチアスが優しく慰めてくれても、傷は癒えない。ポネットはリュックをしょって、一人寄宿舎を後にする。ママのお墓の前で泣きじゃくるポネット。「ママ、ここに来て」、それに答えるかのように、静かな奇跡が訪れ、ママが目の前に現れた。そして、ポネットはようやくママの死を受け入れ、克服することができた。

<レビュー>
観たら必ず号泣してしまう映画がぼくには二つあって、ひとつは「蛍の墓」、そしてもう一つが本作なのです。
つまり、小さな子供がかわいそうな目に遭う映画を観ると、ぼくは何より子供が不憫でしかたがなくなって泣いてしまうのであります。
恋愛モノの映画で恋人が死んでどうこうってのでは滅多に泣かないんですけどね。
こういうのは作品の出来不出来にまったく関わらず、問答無用で泣いてしまいます。
人にはそれぞれ涙腺を刺激するツボがあるのでしょうね。
で、今回も開始五分で泣きました。
ポネットが、父親から母の死を告げられて、泣きながら父親に「一緒に頑張ろうね」と言うシーンです。
これがねえ、とにかくこの主演の女の子がおそろしく自然に泣くんです。
本当にあれは演技なのか、と疑うほど自然なんです。
劇中彼女は何回も泣くんですが、とにかく自然に泣くんです。
凄いです。
彼女が泣くたびにぼくも泣きます。
一番泣いたのは、ポネットがお母さんのお墓で、泣きながら土を掘り返すシーンです。
出来ることなら、お母さんに会わせてあげたい。
でも、無理なのです。
何故って、お母さんは死んだのです。
でも、ポネットは「死」という概念がまだ理解できていない。
だから、お母さんに会えると思っている。
彼女は「ママに会わせてください」と神様に真剣に祈るのです。
でも会えない。
なんてかわいそうなんでしょう。
会わせてあげたい。
ぼくも心から願うのです。

この映画は、四歳の女の子の驚異的な演技力に注目されがちですが、
ぼくが個人的にそれと同じぐらい素晴らしいと思ったのは、カロリーヌ・シャンプティエのカメラワークです。
アップのショットが多いのは普段なら疲れるのですが、今回に限って大正解だと思います。
落ち着いたロングショットが少ないのは不満と言えなくもないですが、ただし無垢で危うげで幼いポネット個人と外の世界との隔たりを感じさせることが出来ているのは文脈ではなくカメラワークによる力なのではないか、そう思わせるようなものがあります。
それから、わりとカメラが左右上下に動くので、普段ならこういうのは落ち着かないから好きじゃないんだけど、この人の撮影は非常にスムーズというか、瑞々しいというか、とにかく良いと思います。
そりゃあ好みから言えば、もっと小津安二郎みたいにどっしりと固定して撮って欲しい気もするけれども。

ポネットを演じた女の子ですが、アップで見たとき、ときおり表情がびっくりするほど大人びているときがあってハッとします。なんでしょう、あれ。
さすがフランス人。というか欧米人。

ネタバレですが、ポネットは最後、死んだお母さんに会います。
もちろん幻想です。
ただ、どうなんでしょう、お母さんは若い頃着ていた赤い服をポネットに着させていなくなるのですが、ポネットは赤い服を幽霊にもらったことになるわけです。
ファンタジーで終わってしまいましたね。
これは如何に。
母親を亡くした小さな子供が、その死をどのように受け入れるかという主題にたいして、解決にあたり最後ファンタジー的要素を介入させてしまったのですが、それは果たして良かったのでしょうか。
ぼくには分かりません。

★★★★★
駿河シカヲ
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駿河シカヲ & マダム葵
性別:
非公開
職業:
ひたすらに映画
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映画
自己紹介:
<駿河シカヲ>
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。

<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。
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