駿河シカヲです。
ジブリ映画「茄子 アンダルシアの夏」を鑑賞。
<公式HP>
http://nasu-summer.com/
<作品解説・詳細>
茄子 アンダルシアの夏 - goo 映画
“ツール・ド・フランス”“ジロ・デ・イタリア”と並ぶ世界3大自転車レースの一つ“ブエルタ・ア・エスパーニャ”。スペインを一周するこのレースに挑むペペ・ベンネリ(声:大泉洋)は、解雇寸前の落ち目のレーサーだ。やがて故郷アンダルシアの村にさしかかる。かつて失望を味わったその土地は、過去に葬り去りたい場所だった。その日はちょうど兄アンヘル(声:筧利夫)と、昔ペペの恋人だったカルメン(声:小池栄子)の結婚式。ペペは疾風のように駈け抜ける。勝つことよりも、自分が存在する意味を見出すために…。
レースのスピード感や躍動感がリアルに伝わってくる。観客が目にするのは、文字通り疾走する夏だ。黒田硫黄のコミック「茄子」の中の一編をとりあげて、監督デビューを果たした高坂希太郎監督は、宮崎駿監督の一番弟子にして、『千と千尋の神隠し』の作画監督をはじめ、スタジオジブリ作品を支え続けてきた天才アニメーターである。
一つも無駄のない凝縮された47分間に、レースを追いながら、兄と弟の“自転車”と“カルメン”を巡る葛藤が見事に描かれている。これは男と男と女のオトナのドラマでもあるのだ。第56回カンヌ映画祭監督週間に、日本アニメ史上初めて正式出品されたのも納得。映画の後にはきっと、ワイン(ビールじゃ無粋!)と、アンダルシア名物“茄子漬け”を味わってみたくなる。
<レビュー>
ジブリは徹底して「動」のアニメをつくる。
というと、そうでない作品もあるので(高畑作品とか)やや語弊があるが、
まあだいたいそうである。
自転車レースを扱ったこの作品も当然「動」のアニメである。
はずなのだがしかし、全体的にどことなく「静」を感じさせる不思議な味わいがある。
そのへんがどことなく紅の豚に似ている気がしなくもない。
レースはスタートからゴールまでずっと全速力なわけではない。
チームスポーツなので、ラビット役が先導し、エースは集団の中に潜んでいる。
主役のぺぺ・ベネンヘリはチーム(パオパオ・ビール)のアシスト役で、作中のレースでも囮となる役目なのだ。
読み合いが延々続き、山が動くのは誰かが仕掛ける終盤なのだ。
スペインの広大な自然のなか、たんたんと、だが心理戦はめまぐるしく展開される。
途中チームパオパオビールにアクシデントが起き、エースが負傷し、
ぺぺに逃げ切りの指令がくだる。
ノーマークだったペペに優勝の可能性がわずかに見えてきたとき、ようやく他のチームもペペを吸収するべくペースをあげてゆく。
そして、怒涛のクライマックスがやってくるのだ。
更にぺぺと、彼の兄と、恋人との三角関係のドラマがうまいこと絡んでくる。
わずか50分足らずの短い作品だが、
これはなかなか侮れない作品だ。
緻密で、しかもダイナミズムがある。
良い意味で大人の映画。
独特の世界観も構築されている。
師匠の宮崎駿が大人も子供も相容れない映画を作ってしまっているのと好対照です。
そういえばエンディング曲を歌っていた清志郎さんの自転車が盗まれたことがあったね・・・。
★★★★★
駿河シカヲ
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。