ロバート・アルドリッチ監督「飛べ!フェニックス」を鑑賞。
<作品解説・詳細>
飛べ!フェニックス(1966) - goo 映画
エルストン・トレバーの小説『フェニックス号飛行』を、「ふるえて眠れ」のスタッフ、ルーカス・ヘラーが脚色、ロバート・アルドリッチが製作・監督したサスペンス・ドラマ。撮影も「ふるえて眠れ」のジョセフ・バイロック、音楽はフランク・デヴォールが担当した。出演は「シェナンドー河」のジェームズ・スチュアート、「バタシの鬼軍曹」のリチャード・アッテンボロー、「ハタリ!」のハーディー・クリューガー、「ロード・ジム」のクリスチャン・マルカン、他にピーター・フィンチ、アーネスト・ボーグナイン、ダン・デュリエなど。
※ストーリーの結末が記載されているので注意!
アラビア石油空輸会社所属の輸送兼旅客機が、サハラ砂漠にある採油地から基地へ帰る途中、砂あらしに遭遇し、砂漠の真只中に不時着した。この事故で、2名の死者と1名の負傷者がでた。操縦士のフランク(ジェームズ・スチュアート)は、事故の一切の責任をとる決心をして、航空士ルー(リチャード・アッテンボロ--)と共に、なんとか、乗客を無事救出すべく策を練った。この乗客の中には、イギリス陸軍大尉ハリスと部下のワトソン軍曹がいたが、ワトソンは上官であるハリスに根深い反感を持っていた。数日後、救援隊が来ないのにしびれを切らしたハリスは乗客の1人で、小猿をもっている男カルロスや、採油夫長トラッカーとともに、オアシスを探しにいった。だが、トラッカーは、砂嵐にまきこまれたのか、数日後死体となって発見された。一方、年若い飛行機デザイナーのハインリッヒ(ハーディー・クリューガー)は、人手と器材さえあれば、こわれた飛行機から、あたらしい小型の単発機を組立てることができると、フランクに説いた。だが、ベテランのパイロットであるフランクには、この年若いデザイナーのことを信用することはできなかった。しかし、医師のルノー(クリスチャン・マルカン)はハインリッヒ計画に賛成した。そうしたある日、一行は、近くにアラビア人の1隊がキャンプをはっているのを発見し、ハリスとルノーが偵察に出発した。だが、期待も空しく、夜が明けると、アラビア人の1隊は姿を消し、キャンプのあとから、ハリスとルノーの死体が発見された。最早、ハインリッヒが作る飛行機に一るの望みを託す以外になくなった。全員が一丸となっての協力が実り、やがてハインリッヒが設計した「フェニックス号」は、生存者7名を乗せて、空に舞い上がった・・・。
<レビュー>
名作と呼ばれているだけあって脚本は非常に良くできている。
おまけにアルドリッチ監督の個々のキャラクターの際立たせる手腕は本当に素晴らしい。
こういった、三谷幸喜がいうところの「作戦もの」としては最高の出来に近いのではないだろうか。
同じ脱出劇では三谷氏のフェイバリットである、かの名作「大脱走」よりもよく出来ている。
まあ、あの「大脱走マーチ」は全てを無にするほどの威力があるのだが、そのハンデがあってもこちらのほうが面白い。
腕白な少年時代を経てきた男子にとってはたまらない集団脱出劇である。
血がたぎるのである。
ただし、極度の弱虫であった私などは(今でも変わらないが)、実際にあのような過酷な状況におかれた場合真っ先に絶望するであろう、というシミュレーションが頭の片隅にはあったわけでもある。
まあそんな個人的な話はどうでもよろしい。
実のところこの作品においてもっとも重要なのは、脱出そのものよりも壊れた飛行機がどのようにアレンジされて完成してゆくのかという具体的な過程だと私は思う。
がしかし、その見せ方にやや難があるような気がする。
どこがどう壊れてそれをどう修理したのか、というのがいまいちわかりづらかった。
骨身を削って修理している描写はあるけれども、一生懸命さだけが伝わってくるだけで、どこをどうしてどうなったのかがよく分からない。
それがちゃんと画として説明できれば、個人的な基準では文句無しの傑作だった。
とはいえ、これは傑作であることには間違いない。
そして、そのひと月後に観た同監督の「特攻大作戦」が、本作を更に上回る素晴らしい傑作だったのである。
★★★★★
駿河シカヲ
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。