キム・ギドク「絶対の愛」を観ました。
<作品解説・詳細>
絶対の愛 - goo 映画
交際を始めて2年になる男性ジウを深く愛しながらも、彼に飽きられてしまうのではないかと不安に思っているセヒ。彼女は顔を整形する事を決意、突如ジウの前から姿を消す。セヒを忘れられず苦悩していたジウは、何人かの女性と肉体関係を持とうとするが、その都度何者かに邪魔をされる。そして半年後、以前セヒとよく行った喫茶店で魅力的なウェイトレスに出会う。彼女の名はスェヒ。次第にジウは彼女に惹かれてゆくのだったが…。
『サマリア』『弓』など、年1作のペースで快作を連打する韓国映画界屈指の鬼才、キム・ギドク監督が贈る究極のラブ・ストーリー。愛情の疑心暗鬼から、自分の顔を整形した女性と恋人の激しい愛が今作のテーマだ。顔を作り変えてまで永遠の愛を求めるヒロインに『女は男の未来だ』のソン・ヒョナ。彼女自身、数年前に整形したということを告白し、韓国での公開時に話題となった。世界有数の整形大国といわれる韓国の美容事情を背景に、キム・ギドク流の独創的なストーリーが観るものを圧倒すること間違いない。
<レビュー>
goo映画には「キム・ギドクの独創的なストーリー云々」と書いてあるけれども、
テーマ自体はもはやありふれている。
恋人の顔が整形手術によって変わっても愛し続けることができるのか。
絶対の愛とは・・・?
下手すると民放テレビドラマなんかでありそうですね。
今で言えば相武紗季あたりが主演でね。
ただしキムギドクはアウトサイダーなので、簡単なドラマにはならない。
極めて激しく危険なドラマになってしまう。
だが今回は、ありがちな話であるということで、ストーリーそのものについてキムギドクを褒めることはしないでおく。
ただ、最後と最初をつなげることで、話が延々ループするという構造はさすが。
キムギドクが優れているのは、なによりも単純な映画としてのクオリティの高さである。容赦のないアブノーマルな描写ばかりに気を取られてはならない。
おそらくこの人はひどく退屈な原作だって印象的な映画にしてしまうだろう。
演出そのもののレベルが非常に高いために、単純に映画として楽しめる。
シンボリックな演出、小ネタを配置することで話が立体化してゆく。
けれどもドラマツルギーがしっかり準備されているわけでもなさそうである。
要は天賦の才能で映画を作れる人なんですね。
つまりは北野武と同種の才能があるってことだ。
二十代は軍人として過ごし、三十代前半はフランスで画家として過ごし、ろくに映画も見なかったキム・ギドク。
天才である。
基本的に最近の韓国映画を最近の邦画よりも擁護している私ですが、ひとつだけ言わせていただきたい。
韓国人ちょっとキレやすくないですかね。
登場人物が瞬間湯沸かし器の率が多いと思うんですが。
そのへんの、我々との国民性の明らかな違いを、韓国映画から見出すことができます。
これは映画云々とは関係なく、文化人類学的な、社会学的な勉強。
★★★★★
駿河シカヲ
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。