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駿河シカヲとマダム葵による映画レビュー、書評、対談、コラム等のブログであります。 コメントやリンクはいつでも大歓迎でお待ちしております!
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2009.04.17,Fri
駿河シカヲです。
先日花見をしました。
マダムも来ました。
葉桜でした。
で、今日は奥原浩志監督の「青い車」です。
深夜映画の録画です。

<作品解説・詳細>
青い車(2004) - goo 映画

漫画家よしもとよしともの同名傑作を、海外映画祭でも高い評価を受けてきた「タイムレス・メロディ」の奥原浩志監督が映画化。日常の中にある孤独や退屈や諦めと、それでも生きていかなければならない現実をクールに描く。ARATA、宮崎あおい、麻生久美子、そして田口トモロヲと、日本映画界をリードしつづける役者陣がそろった。音楽を担当するのは、映画初挑戦となる曽我部恵一。

子供のときの大事故で片目に大きな傷を負ったリチオ(ARATA)。その頃から、死に損なったような今の自分を、子供の自分がどこからか見ているような気がしている。傷を隠すために大きなサングラスをしているリチオは、バツイチの店長マチダ(田口トモロヲ)がやってる中古レコード店に勤めながら、時々クラブでDJをしている。いいようのないイラ立ち。ただなんとなくやり過ごす日々。恋人は、不動産会社に勤めるアケミ(麻生久美子)。順調ともいえるし、倦怠ともいえる関係。アケミには高校生の妹・このみ(宮崎あおい)がいる。ある日、このみとリチオは街でばったり会う。名前も覚えてくれていないリチオをこのみは昼食に誘い、その後リチオの部屋へ行く。サングラスをとったリチオの顔が見たいと言うこのみ。リチオは自嘲気味に笑うと、このみにキスする。ゆっくりと外されるサングラス。現れた片目の傷。このみはリチオの顔を見て言う「かけてない方がいい」。アケミは、リチオの手首にある無数の傷に気付きながらも、いつも聞けずにいた。「ずっと幸せだったらいいな」ぼんやりとアケミがつぶやく。リチオは答える「そうな…」。アケミにもこのみにも言えない苛立ちを抱えたまま、毎夜不穏な夢に悩まされていたリチオは、もう会うのをやめようとこのみに告げる。そんなとき、出張で熱海に向かっていたアケミが、交通事故で死ぬ。リチオは、夜ひとりで青い車を走らせてカーブに差し掛かると目を閉じ、急ブレーキを踏んだ。よみがえるアケミの笑顔。ふと見ると、助手席には子供の頃の自分が座っている。リチオは、その子に言う「…教えてやるよ。あれからどんなことがあったか」。そんなある日、両手いっぱいの花束を抱えたこのみが、リチオの前に現れた。その花束を、海に投げるのだと言う。ふたりは青い車に乗って、高速道路を走らせる。やがて広がる輝く海。このみの目からこぼれ落ちる涙。このみはリチオに、ある告白をする。

<レビュー>
奥原浩志は巧い。
何が巧いかというのは、現代的な若者の日常を描くのが巧い。
意地悪く言えば、若者の、その、まあその「いかにも」って感じの、こう、邦画好きでややサブカル好きの、ロッキンオンとかにのってるバンドとか聴いていて、ちょいお洒落気味な感じの若者が好きそうな映画を撮るのが巧い。
でも悪口みたいに思われるから、ちゃんと言っておくと、ぼくは好きな監督である。
それだけじゃないからである。

登場人物は、頭がイカれる寸前で平静を保ちながら生きている。
これは佳作「タイムレスメロディ」でも傑作「波」でもそうだった。
完全に発狂までいかない、いや、いけない感じがリアルで共感できるポイントなのだが、
「青い車」の致命的とも言える欠点(とみせかけて欠点ではない)は、主要キャスト(麻生久美子、宮崎あおい、ARATA)がマズいってことだ。
何がマズいかっていうと、演技が悪いわけじゃなくて、華がありすぎるってことだ。
冷静に考えて下さい。
とある姉妹がいて、姉が麻生久美子で妹が宮崎あおいだったら、どうですか。
その二人と恋人関係になるのがARATAだとしたら、ぼくらがその世界に入り込む余地はないでしょう。
だから、若者のみなさん注意してください。
これはリアルな感触の映画のようで、実はぼくらの住む世界とはまったく異空間なのです。
感情移入してはならないのです。
みなさん怖い怖い怖い映画ですよ(淀川風)。
スターを配して、しれっとこういった日常的映画が撮られてしまっていることにもっと気付いてゆきたいです。

これより低予算で撮られた「波」は「青い車」と同じく、破滅すれすれの日常を描いた青春群像劇なのだが、キャストがほどよく視覚的な魅力を欠いているぶん、リアルではあります。
リアルだから良いというわけでもないけれども。
ただ、やはり本作は「波」や「タイムレスメロディ」ほど好きにはなれないのです。

ちなみに音楽は曽我部恵一です。
いかにもって感じでしょう。
曽我部さんが悪いわけじゃありません。
劇中歌は良い曲です。
ただ、いかにもな感じを打破するような何かが全体的に足りない。
良い意味での裏切りを期待したいのだけど。

でも、やっぱりさすが。
八方塞がりの日常の、気付きたくない怖さに気付く。
うすら寒い感覚は、確かに残った。
でも評価は辛口。
一回目なら星四つだったが、二回目となると厳しいかなあ。

★★★☆☆

駿河シカヲ

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駿河シカヲ & マダム葵
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非公開
職業:
ひたすらに映画
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映画
自己紹介:
<駿河シカヲ>
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。

<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。
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