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駿河シカヲとマダム葵による映画レビュー、書評、対談、コラム等のブログであります。 コメントやリンクはいつでも大歓迎でお待ちしております!
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2009.03.10,Tue
お疲れっす。
駿河シカヲです。
数日間頭痛が続いております。
今回の映画は、アルベール・ラモリス「赤い風船」です。

<公式HP>
http://ballon.cinemacafe.net/

<作品解説・あらすじ>
赤い風船 - goo 映画

1950年代、パリ。少年パスカルは、街灯に結ばれた赤い風船を見つける。よじ登って風船を手にすると、どうやらその風船には意思があるらしい。手を放してもパスカルになついて後をついてくる。ある日、パスカルと風船の仲の良さを妬んだいたずらっこ達が追いかけてきて…。

1956年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(短編)を受賞、その後数々の映画賞に輝いた不朽の名作。アルベール・ラモリス監督の描き出す世界は、シンプルなストーリーとわずかな台詞によって構成されているのにも関わらず、映画が語りつくせる限りのものが詰まっている。(作品資料より)

<レビュー>
ぼくは、どう考えても二十世紀の人間だ。
この先天寿をまっとうするまで生きたとしたら、二十一世紀のほうがよっぽど長くいたことになるのだが、
それでもやっぱり二十世紀の人間なのだと思う。
何故なら、二十一世紀が来る前までに、ぼくの人格形成が完成(終了)してしまったからだ。
今のところ、あれから何一つ自分は変わらない。
この先も変わりそうにない。
ぼくは二十世紀に作られた、二十世紀の人間だ。
少年時代にその後のあらゆる宿命が決定される。

少年と風船の寓話。
ほんの四十分足らずの映画である。
この映画が何より映画的なのは、赤い風船の動きがあまりに自然なために、それが意思をもっているものと錯覚し、ありえない話をありえない話に思わせないところである。
少年が風船とともにどこかへ飛んでゆくラストシーンには、泣く。
個人的なツボにハマったというのも確かにあるけれども、空を飛びたい人や、思春期に屋上でひとりになりたかった人、ビルから飛び降り自殺したかった人、現実から逃げたい人、いじめられっ子だった人などは、少なくともあの極めて刹那的でロマンチックなフィナーレに泣くしかないと思う。
少年が幸せかどうか、それはそれとして、少年のぼんやりとしているけれどもパチンと水を打った絵のように純粋な憧れを、象徴的かつスペクタクルに具現化し、最終的にラストシーンで集約、昇華してみせたアルベール・ラモリスの意匠に拍手を送りたい。

終わったあとに、すべてがあり得ない話であったことに気付かされ、やはり映画というものはインチキなものだと結論付ける。
その一連の流れが、何より映画的なものに触れたことを証明しているのだ。
だからこれは素晴らしい映画である。
ぼくは夢を観ていたのか。

ちなみに、ぼくが観たDVDは「白い馬」という短編と抱き合わせなのだが、「白い馬」のほうは観ていない。
何故なら、忙しかったり眠かったりで、あっという間にTSUTAYAのレンタル期間の一週間が来てしまったからである。
ぼくはTSUTAYAに延滞料金を取られたくなかった。
延滞料金が惜しくて、「白い馬」を観ずにDVDを返却してしまった。
ぼくの怠惰がそのような結果を招いてしまった。
レンタルした映画を観ずに返してしまうとは、映画ファンとして犯罪的な愚行であり、嗜好品を愛する素晴らしき貧乏人の鏡になりえないという一面をも証明してしまう行為なのである。

★★★★★

※向現・・・村上龍 「 五分後の世界」より
駿河シカヲ
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<駿河シカヲ>
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。

<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。
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