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駿河シカヲとマダム葵による映画レビュー、書評、対談、コラム等のブログであります。 コメントやリンクはいつでも大歓迎でお待ちしております!
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2008.12.11,Thu
駿河シカヲです。
内田けんじ「アフタースクール」を観たよ。
面白い!

<公式HP>
http://www.after-school.jp/index.html

<作品解説・詳細>
アフタースクール - goo 映画

母校の中学校で教師をしている神野と、サラリーマンの木村は中学時代からの親友同士。産気づいた木村の妻を、仕事で忙しい木村の代わりに神野が病院まで送りとどけた。その日、夏休み中だが部活のため出勤した神野のもとに、同級生だという探偵が訪ねてくる。島崎と名乗る探偵は木村を捜していた。若い女性と親しげにしている木村の写真を探偵に見せられた神野はショックを受け、なかば強引に木村捜しを手伝うことになってしまう。

カンヌ国際映画祭等で数々の映画賞に輝いた『運命じゃない人』から3年。内田けんじ監督作品に、大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人ら人気・実力を兼ね揃えたキャストが集結した。探偵(もしくは何かを調査、模索する人物)を狂言回し的に配置することを踏襲しながらも、時間軸を少しずつずらしながら、別の視点で同じシーンを見せることによってパズルを解いていくような痛快なストーリーテリングで見せた前作(デビュー作『WEEKEND BLUES』も同じテイスト)と違い、本作では“信じていたものが一気にひっくり返るような”想像を超えた展開が待ち受けている。内田けんじの作劇術にまんまと騙されてこそ楽しめる痛快作。

<レビュー>
ドンデン返しのカタルシスを求めたい人には、何よりおすすめの映画である。
また、推理小説が好きな人にもおすすめである。

だが、目の肥えた映画ファンにおすすめかといえば、そうでもない気がする。
たしかにストーリー展開は見事である。
現在の日本人映画監督でここまで緻密に計算されたトリックを、一流の娯楽映画として楽しませてしまう人はいないと思う。
あの三谷幸喜だって、内田けんじの才能には遥かに及ばない。
そのぐらいのストーリーテラーだとぼくは思う。
けれどもそれは物語作家として優れている、ということであって、
映画作家として特別に優れているというわけでは無い、ということなのである。
演出面で、というか、画面として特にアッと驚く何かは無かった。
といいつつも、どちらかといえばゆったりめのテンポは、ショットひとつひとつに余韻があって好みである。
だからDVDで観ていたぼくは「ん?今の何だったんだ?」と巻き戻しすることが無く、この平和なサスペンスをゆっくり考え、楽しむことができた。
だが、この映画は少なくとも二回は観なければ完全に理解できないだろう。
大まかなストーリーは一度観てわかるけれども、二度目、三度目で細かい伏線に、意図に、だんだん気付いてゆくのである。

この作品でもって内田けんじはいよいよ日本でメジャーな存在になり、当然のごとく人気映画監督の階段をかけあがってゆくに違いない、といいたいところだが、オリジナルストーリーが興行的な大成功につながらない現在の日本においては、ブレイクまでまだ待たなければならないだろう。
というか現在のマンガ、ドラマ、本の映画化が横行する(しかもそれはたいがい原作に勝てない)腐った状況を打破しうる存在でもあるので、今後にも期待したい。
内田けんじが松本人志みたいなネームバリューをもっていれば簡単なことなのだが。
しばらくTVを経験したらどうだろう。
商業映画監督としての素質は抜群に優れていると思うのだが。

★★★★★                                                      

by 駿河シカヲ

 

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ひたすらに映画
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映画
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<駿河シカヲ>
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。

<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。
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