渡辺謙作監督「となり町戦争」を鑑賞。
<作品解説・詳細>
となり町戦争 - goo 映画
舞坂町に暮らし始めて一年、北原修路は町の広報紙で隣りの森見町と戦争が始まる事を知る。しかし、開戦初日を迎えても町の様子に変化はなく、戦争を実感することは何一つなかった。広報紙に掲載される戦死者数を除いては…。数日後、対森見町戦争推進室の香西と名のる女性から電話があり、特別偵察業務辞令の交付式への出席を促される。その業務の延長で、やがて北原は敵地へ潜入するため香西と結婚する事になる…。
行政事業としての戦争を業務として遂行する。それは旨味のある商売ゆえに町興しの一貫として粛々と進められるのだ。戦争である以上、人は死に、愛国心ならぬ町への愛を胸に兵士たちは血を流し倒れて行く。が、所詮、死者は統計上の数字に過ぎない。地球上のどこかでいつ果てることなく繰り返される戦争の本質的な不気味さを描いた本作は、05年の第17回すばる文学賞を受賞し、一大センセーションを巻き起こした新鋭・三崎亜記のデビュー小説の映画化。戦時下であることを実感できないまま否応なく戦争に取り込まれて行く主人公・北原を江口洋介、一切の感情を押し殺し任務を淡々とこなす町役場の香西さんに原田知世が扮している。
<レビュー>
なんてもったいない映画なのだ。
原作がそこそこ面白かったので、観てみた。
となり町と戦争になった。
でも普通に暮らしている。
となり町には毎日仕事で通っている。
戦闘状態を目撃したことはないが、新聞によると戦死者はでているらしい・・・。
こういった、わけがわからなくてちょっと怖い設定というのは、とてもおいしいと思う。
原作者の功績です。
ただ、これは小説にも映画にも言えたことだが、変に説教くさいところはいらないと思うのである。
戦争がどうだとかいうメッセージはいらん。くどいけれどもこれは小説にも言えること。
前半はコメディタッチを選択している。
それはそれで良いのだが、そのまま最後まで押し通して欲しい。
シリアスにするなら徹頭徹尾シリアスにすればよい。
ホラー映画ぐらいに不気味にも出来るはず。
中途半端なヒューマンドラマになってしまったことが残念。
初見なので言いきってしまうことはできないけれど、多分渡辺謙作という監督は、ものすごく駄目な監督だと思う。
ただ物語を説明しているだけ、という感じがする。
このあと渡辺監督は「フレフレ少女」を撮っている。
ガッキーはつくづく不幸だなあ。
なんて惜しいのだ。傑作にできるストーリーであることは間違いないのだ。
ハリウッドがリメイクさせてくれーと言ってきそうな話だ。
渡辺監督じゃなければ・・・。
とかぶつぶつ言いながら渡辺謙作のキャリアについて調べてみると、いろいろとびっくりする。
あれ、「ラブドガン」の監督だったのか。
すっかり名前を失念していた。
「ラブドガン」は奇妙にかっこいいノワール映画である。
いろいろ心に引っかかるシーンが多く、そろそろもう一度観てみようと思っていた。
そして、彼は奥原浩志の「波」に出演していることが分かった。あれも大変素晴らしい映画だった。
どの役で出ていたんだろうと思い、画像検索する。
渡辺監督の顔がでてきた瞬間「アッ」と心の中で叫ぶ。
「波」の主役の人だったのか!
急に親近感がわく。
酷いこと言ってごめんよと思う。
でも、この作品はあまりに無表情で、面白くない。
ラブドガンを見る限り、エンターテイメント的な興奮を作る映画作家ではないけれど、
確実に映画的な戦慄や感動を詰め込んだ決定打をワンシーンの中にかっ飛ばすことのできる人であることは間違いない。
無表情で面白くない、と言ったけれども、それはそれで一つの味なのかもしれない、などと擁護したくなる気持ちをぐっと抑えて、ここは厳しい評価をくださなければならぬ。
といいつつも、本作には星四つあげたい。
何故なら原田知世が素晴らしいからだ。
とにかく原田知世がきれいに撮られている。
きっと見た人はみんな好きになる。はず。
★★★★☆
駿河シカヲ
夜中の12時から3時にかけて映画を観ることが多い。
近所を自転車で疾走している姿をよく目撃されている。
<マダム葵>
短期間でもの凄い本数の映画を観たりする。
夕方の花街でそそくさと歩く後姿を目撃されることがある。